僕が田舎で暮らすまで 4
つづき
僕は、東京都で住んでいるとき、1日6時間のバイトをしながら暮らしていた。誰でも一度は声をかけられたことがあるんじゃないだろうか、コンタクトの街頭での売り込みのバイトだ。精神的にきついことや、正社員のみなさまと顔を合わせることもわりと多いのでめんどくさいこともあったが、残業があまりなく、始業も遅かったので、やりたいことがある身にはなかなかよかった。
そこにいる人は年齢やバックグラウンドも様々だ。しかし、一様にみな、プライドを持って仕事に臨んでいた。日雇いの派遣の人も、派遣会社と、コンタクト屋、両方の品格と売り上げを自分が担っている、と本気で思っていたし、実際の仕事もかなり必死だった。もちろん中には学生や、副業以下の意識で来ていて、気楽に過ごしている人もいる。しかし、ほとんどの人はそうだった。オーバー30の人がかなり多いし。
それがきつかった。
そのこと自体は悪いことではない。しかし、彼らのなかで、いい生活をしているものはほとんどいなかった。月に一度の贅沢は、コンビニのイートインでビールを飲む、吉野家にいく、とかそういう感じ。まがりなりにも接客業なので、押しとアクが強くなりすぎ、なんだか珍妙なルックスも込みで、ガチでその仕事にのめり込んでいる人で、異性と付き合いのありそうな人は皆無だった。
彼らは東京都に生まれたわけではないひとが多い。暮らしは苦しいだろう。実際、僕も楽ではなかったです。でみんな東京都にいる理由をこういうわけ。
便利だから。
田舎では得られない刺激があるから。
田舎には仕事がない。
でも、田舎にも、今しているバイトくらいの給料の仕事はあるし、金がないから、便利なもので気を使わないで使えるものなんてないし(実際、一部の人は、かなりの長距離を電車代の節約のため、歩いて移動したりしていた)、何より、その仕事をしていて、そんな刺激のある出会いがあるだろうか。。。
結局、都会に住んでいる自分に酔っていて、その酔いから離れられないだけなんだろう。
夢を追っていた僕は、どうしてもバイトガチ勢になれず、その気持ち良い酔いを手に入れられなかった。
つづく